
2025年、夏。パリで開催されたモデルロケットの世界大会に日本代表として出場した都立小石川ロケット班が、熱い戦いを終え日本に帰国しました。今回、リーダーの橋本龍之介さん(高校2年生)に、世界大会での経験と今後の展望について、ロジム苅野が詳しくお話を伺いました。
世界の舞台で得た「喜び半分、悔しさ半分」
パリでの世界大会を終え、橋本さんの胸には「喜び半分、悔しさ半分」という複雑な感情が残っているとのこと。良かった点として、初めての海外での打ち上げでしっかりと記録を残せたこと、そして英語でのプレゼンテーションを成功させ上位に食い込めたことを挙げてくれました。一方で、ロケットの高度やパラシュートの落下速度が想定と異なり、事前にもっとできたことがあったのではないかという悔しさもにじませました。
異文化と異言語の壁、そして予測不能な気候
初めての海外での競技会は、橋本さんにとって驚きと混乱の連続でした。現地のスタッフや参加者とのコミュニケーションは全て英語。ルールの説明も英語で行われるため、聞き逃さないよう集中する必要があったといいます。また、日本の気候とは全く異なるフランスの環境も、彼らを悩ませました。特に湿度の低さと気温の高さは想定外で、準備してきたパラシュートの落下速度に大きな影響を与えました。
「運命の2秒間」が教えたこと
大会での打ち上げ時、ボタンを押してからロケットが実際に飛び立つまでに「2秒間」のタイムラグが発生しました。通常ではありえないこの事態に、橋本さんは「まずい」と直感したといいます。この2秒間でエンジンの一部が先に燃焼してしまったと推測され、その後の飛行に大きく影響しました。さらに、風によってロケットが斜めに飛んでしまい、上昇途中でパラシュートが開いてしまうという事態も発生。日本での25回もの練習では一度も経験しなかった「逆ホームラン」のような状況に、頭が真っ白になったと振り返ります。
この予期せぬ失敗から、橋本さんは大きな学びを得ました。アメリカチームとの交流を通じて、彼らもまた同様のパラシュート実験方法を採用していたことから、自分たちのデータ取得方法自体に問題があった可能性を自ら指摘していました。また、エンジンの選択においても、アメリカやイギリスのチームがエンジン点火からパラシュート開傘までの時間を長めに設定していたことを知り、不具合発生時の修正余地が大きくなるという彼らの戦略に気づかされました。
もし1ヶ月前に戻れるなら、橋本さんはパラシュートの実験条件を洗い直し、日本とフランスの気候の違いを徹底的に考慮して分析し直したいと語りました。
次なる挑戦、そしてロケット班の未来
今回のパリでの経験を経て、橋本さんの視線はすでに次なる舞台へと向いています。次の世界大会はイギリスのファンボローで開催される航空ショーでの出場を目指しており、学年的にもまだチャンスがあると意欲を見せています。
そして、橋本さんが創設したロケット班には、頼もしい新入部員たちが続々と加入しているとのこと。すでに打ち上げに必要なライセンスを取得し、大会でロケットを飛ばしている部員もいると聞き、橋本さんの情熱が後輩たちにも確かに受け継がれていることがうかがえます。
未来のロケットマンたちへ
最後に、ロジムの小学生たちに向け、橋本さんから熱いメッセージが送られました。
「モデルロケットはとても楽しい競技で、世界的には人口がかなり多いです。日本国内ではまだまだ競技人口が少ないので、頑張れば世界大会に出られるチャンスも十分にあります。ぜひ、僕たちのチームに参加して、一緒に世界を目指しましょう!」
橋本さんの挑戦は、まだ終わっていません。今回の経験を糧に、彼は再び世界の舞台へと飛び立とうとしています。ロジムは、このような生徒たちの情熱と挑戦をこれからも応援していきます。



