
「うちの子は計算に時間がかかる……」
「計算ミスが多く、最後まで問題が解けない」
そんな悩みをお持ちの保護者の方は少なくありません。
なぜ計算力が重要なのか
計算は、速く正確にできた方が良いと言われます。
もちろん、計算問題で有利になるという理由もあります。しかし、本当に大きなメリットはそこではありません。
計算が速いことで、多くの試行錯誤が可能になります。
一つの問題に取り組むとき、算数では一つの解き方だけではなく、何通りものアプローチを試しながら答えにたどり着くことが少なくありません。
ところが、せっかく正しい考え方にたどり着いていても、途中の計算でつまずき、最後まで解き切れない生徒をよく見かけます。
算数は才能やセンスが大事だと思われがちですが、実際には算数が苦手な生徒の多くは、単純に「計算が苦手なだけ」というケースも少なくありません。
それだけで、本来できるはずの問題を落としてしまうのは、とてももったいないことです。
そこで今回は、知っているだけで計算がぐっと楽になる工夫を7つご紹介します。
① よく使う計算は「覚える」

九九だけでなく、頻繁に出てくる計算は覚えてしまった方が圧倒的に速くなります。
例えば、
・12×5や16×5 といった5のかけ算
・15×4、15×6、15×8、25×4 などのきりのいい数
・11×11 など自乗となる数(これは高校生になるとのちのち便利です。)
などです。
さらに、これらをいくつか覚えておくことで、それに近い数字の計算もすぐできるようになります。
一見すると暗記が増えるように思えますが、実はその逆です。
たとえば、11×11=121 というのを覚えていれば、
11×12 という計算をする時には、
121 にもう一つ11を足せばいいので、121+11=132 だ、と考えられます。
覚えた計算が、新しい計算の土台になります。
② 数字を分解すると、九九だけで計算できる

例えば、15×16 を計算するとします。
そのまま計算するより 15=3×5 16=8×2 と分けて考えてみましょう。
すると、3×5×8×2となります。
ここで、真ん中の5×8=40を先に計算すると、40×3×2となり、
40×6=240と、九九だけで計算できます。
また、16×25なら、4×4×25と考えると、4×25=100なので、
4×100=400と一瞬で答えが出ます。
数字をそのまま見るのではなく、「分けられないかな?」と考える習慣が大切です。
③ 足し算も分解して「区切りのよい数」を作る

例えば、3997+206は、
3997=4000−3 206=200+6 と考えると、4200−3+6となり、4203と簡単に計算できます。
また、49+50+51+53なら、50が4つと考えて、
50×4−1+1+3と整理できます。
計算が得意な子は、「そのまま計算する」のではなく、「計算しやすい形に変える」ことが得意です。
④ 共通する数を見つける

例えば、26+39という計算。26は13×2、39は13×3です。
つまり、13×2+13×3なので、13×5=65 と考えられます。
引き算でも同じです。
412−128 は、103×4−32×4なので、(103−32)×4=71×4 と整理できます。
数字同士の共通点を見つけられると、計算はぐっと楽になります。
⑤ 掛け算・割り算は分数で考える

例えば、56×36÷35÷16という計算。
この計算を順番にしていくのは大変です。そういうときは、分数の形にして考えましょう。
56と35は7で約分。36と16は4で約分。数字が小さくなるので、計算がずっと楽になります。
掛け算と割り算だけの式では、「分数にできないかな?」と考えるクセをつけましょう。
⑥ 分配法則を使う

2つの数の和や差に、さらに掛け算や割り算をする計算には、次のような決まりがあります。
- (A+B)× ⬜︎=A× ⬜︎+B× ⬜︎
- (A−B)× ⬜︎=A× ⬜︎−B× ⬜︎
- (A+B)÷ ⬜︎=A÷ ⬜︎+B÷ ⬜︎
- (A−B)÷ ⬜︎=A÷ ⬜︎−B÷ ⬜︎
この決まりをうまく使うと、複雑に見える計算も簡単にできます。
例えば、68×14+32×14という計算では、どちらにも「14」が掛けられています。
そこで、(68+32)×14とまとめることができます。
68+32=100なので、100×14=1400 と簡単に答えを求めることができます。
このように、共通して掛けられている数や割られている数を見つけると、計算を大幅に楽にすることができます。
⑦ 割り切れる数を瞬時に判断する

数字が、3・4・6・9で割り切れるかどうかは、簡単なルールを知っているだけで瞬時に判断できます。約分や整数問題でも役立つ知識なので、ぜひ覚えておきましょう。
3で割り切れる数
条件→ それぞれの位の数字の和が3の倍数
例:714 「7+1+4=12」
12は3の倍数なので、714は3で割り切れます。
なぜそうなるのでしょうか?
3桁の数を100×a+10×b+cと表します。
ここで、100×a=99×a+a10×b=9×b+bとすると、99×a+9×b+(a+b+c)となります。
99も9も3で割り切れるので、最後に残る a+b+c が3の倍数なら、その数全体も3で割り切れることになります。
4で割り切れる数
条件→ 下2桁が4で割り切れる数、または00
例:512
下2桁は12なので、512は4で割り切れます。
なぜそうなるのでしょうか?
例えば 543XX という数字があるとします。
これは、54300+XXと考えられます。
54300は543×100であり、100は4で割り切れるので、54300も必ず4で割り切れます。
つまり、100の位以上がどんな数字であっても、下2桁の XX が4で割り切れれば、その数全体も4で割り切れることになります。
6で割り切れる数
条件→ 偶数 かつ 各位の数字の和が3の倍数
6で割り切れるということは、「偶数であること」「3で割り切れること」の両方を満たすということです。
例:714
714は偶数であり、7+1+4=12
12は3の倍数なので、714は6で割り切れます。
9で割り切れる数
条件→ それぞれの位の数字の和が9の倍数
例:8766 「8+7+6+6=27」
27は9の倍数なので、8766は9で割り切れます。
なぜそうなるのでしょうか?
考え方は3で割り切れる数と同じです。
3桁の数を100×a+10×b+cとすると、
100×a=99×a+a
10×b=9×b+b
なので、99×a+9×b+(a+b+c)と表せます。
99も9も9で割り切れるため、最後に残る a+b+c が9の倍数であれば、その数全体も9で割り切れることになります。
計算が速い子は、「速く計算している」のではありません
計算が得意な子は、特別な才能があるわけではありません。
- 覚えるべき計算は覚える
- 数字を分解する
- 区切りのよい数を作る
- 共通点を見つける
- 計算のルールを活用する
こうした工夫を積み重ねることで、計算を「楽に」しています。
計算が楽になると、その分だけ考える時間が増え、さまざまな解き方を試すことができます。
計算力は、単に速く答えを出すための力ではありません。
より多く試行錯誤し、深く考えるための土台となる力です。
ロジムでは、答えだけではなく、「どうすればもっと楽に考えられるか」という視点を大切にしながら、子どもたちの思考力を育てています。
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