疑って読んでみる

こんにちは。竹村です。
今日はひさびさに国語の話題を書こうかと思います。

大昔中学校に入学したばかりのころ、国語の時間にあるコラム
を読んで感想文を書くという課題が出ました。

そのコラムは当時おそらく70代くらいのお年寄りが書かれたもので、
内容を大雑把にまとめると

「自分が若かったころは戦時中だった。自分が尊敬していた先輩は
若干19才で国と家族を守るため胸を張って戦争に行った。
責任感にあふれた真の大人の姿だった。
つい先日見た20代の男は電車のマナーも守れず、周囲に迷惑をかけても
平気でまるで子供のようだった。豊かで平和な時代が何か大切なものを私たちから
失わせてしまったのではないだろうか。」

といったようなものでした。感想を書け、といわれて皆なんとなく

「昔の人はえらいと思う。僕たちはもっとがんばって
立派な大人にならなければいけない。」

といったようなことを書き連ねて提出しました。

しかしそんな中、一人の友人が提出した感想は実に秀逸でした。曰く

「昔の人の中から一番格好良かった人間を選び、
今の人の中からは一番格好悪い人間を選んで
比較するのは公平なやり方とはいえない。」

きっと戦争が起きてもきちんと自分を保っていられるのは
こういうやつなんだろうな、と思ったのを覚えています。

さて、こんな例で何が言いたかったのかというと、
普段皆さんが目にする文章も結構偏った方向で書かれていることがありますよ、
ということです。特に、中学入試で使用される文章は、それが良いか悪いかは
別にして、だいたい似たような結論を持っています。

そんなとき、少し国語が得意な人は一歩進んで「疑って読んでみる」
ことも覚えてみてほしいと思います。
「著者はこういっているけれど本当に正しいのかな?」
「この結論を持ってくるのにこの具体例をチョイスするのは適切かな?」

そんなふうに考えていく中で、一歩先のレベルの読解力と思考力が身に付いてきます。

点数を取ることだけを目的をせずに、そんな文章との向き合い方も身につけてほしいと思います。