とはかの安西先生のお言葉。本当に大切なことだと思うのですが、人間は基本的に「己の下手さ」から目をそむけがち。目標との自分との距離を正確に把握すること。こういう単純なことが出来る人間と出来ない人間とではいつのまにか差がつくものです。
同じ授業を受けてとなりの人より点が低いなら、その人よりも能力がないのです。今日からその人の5倍の時間勉強しなさい。あなたの能力の低さの他に理由を探している暇などなく、その低さを補うのは量という名の努力しかない。
初めての数学のテストの返却の時に先生にいわれた言葉です。
子供たちが小・中・高の勉強を通して学ぶのは各科目の知識以上に、「自分の能力の範囲」だと思います。やりたいことが出来ない。覚えたいの覚えられない。がんばったのに追い抜かれる。
しかたのない現実です。しかし、この現実と出会えたことを前向きにとらえて、自分の能力と向き合い、必要な努力を見積もり、受け入れる。これは、社会に出て最も大切な姿勢ではないでしょうか。自分の能力や素質といったものから目を背ける。なにかと外部に要因を求める。そもそも目標に見合った努力の必要量の見積もりが正確に出来ない。進歩のない子供にだけでなく、進歩のない大人にも顕著に見られる精神性です。そして、塾で指導していて感じるのは、そのような姿勢はきちんと矯正しないとなおらないということ。出来ないことをごまかしたりする姿勢は、むしろ大人になるにつれ強くなるものですから。
君たちは自分が天才であるとか、なにかのきっかけで目覚める偉大なる素質を秘めているとか心配しなくていい。ほぼ確実に凡人だ。そして凡人の悩みは、ほとんどが努力のみで解決する。悩んだら、気を失うまで努力しなさい。天賦の才がもしあったとしても、努力によって削られることは絶対にない。
学んだ内容のほとんどが忘却の彼方にある現在でも、強烈に私の記憶に残っている、有名な教授が述べた授業初日の訓辞です。