成功体験

苅野です。現在、午前5時10分。先日の午後8時30分頃に教室にふらっとやってきて、数学の問題を解いていました。調子が出て来た時に、まとめて一気にやってしまうのが私の勉強法です。
というわけで、「勉強法」のお話。
ちまたに溢れる様々な勉強法。書店にも受験に限らず成功者の語るノウハウ本が数多く並んでいますね。様々な勝利の方程式とやらが掲載されています。
こんなに成功のノウハウが溢れているのに、なぜ成功者が再生産されていないのでしょうか。受験に限って言えば、なぜ合格者の真似をしても合格できないのでしょうか。なぜ、合格者の真似をさせても合格させられないのでしょうか。
私は、塾の講師になって初めて受け持ったクラスの生徒に、1年間私が受験の時に使った教材、スケジュールをそっくりそのままなぞらせました。結果、東大専門塾の御三家+有名国立高の生徒が全員落ちました。本郷の掲示板の前で気絶しそうになったのを覚えていますが、それ以上にテストの出来にショックを受けたことが印象に残っています。やったはずのことが出来ていない、身に付いていなかったのです。
プレイヤーとしての成功体験は、必ずしも他人を成功に導くためのノウハウの元にはならないのです。
なぜか。それは簡単です。プレーしている人間が違うからです。
記憶力、モチベーションの源泉など学力を構成する様々な要素が異なっているからです。
塾には、「これが出来れば受かる」というデータはあります。これに関して言えばほとんどの塾が大差ないものを持っているのが現状でしょう。更に踏み込んで、「以前、あなたに似たこんなタイプの生徒がこのような勉強法で成功した」というデータを持っている塾や講師もいます。これは、生徒の状況を勉強法まで含め、ある程度の期間管理することが出来る規模、体制の塾にしかないものですが、それでも取り扱い注意の情報です。週に25時間以上きっちりついているロジムの講師ですら、生徒の能力の新たな面に日々驚かされている位ですから、「似ている」の精度はまちまちです。鵜呑みにせず、効果をしっかりと検証する必要があります。
「これが出来れば受かる」というものを、どのようにして身につけるのか。細かく言えば、「これを覚えれば受かる」というものを、どのようにして覚えるのか。これは、自分で見つけるしかないのです。少なくとも、数多くの成功体験から、どの例が自分に合っているのかについて、自ら試して、検証し、修正して採用しなくてはいけないのです。
自分で勉強法を決定するのはとても勇気がいることなのですが、それが一番効率的です。
自分は、漢字を何回書かなくては覚えられないのか。どれくらいの間隔で復習しないと忘れてしまうのか。常に課題を持って、方法を選び、そして検証する。その繰り返しだけが、自分に最も合った、最も効率的な勉強法を見つける道なのです。