国語読解教室へようこそ 8

誰にも聞けない国語の素朴な疑問にお答えします!
それが、「国語読解教室へようこそ」です。
本日は目黒区駒場在住のクリオネさん(仮名)からの質問です。
◎ 随筆文って何ですか。どのように読んだらいいのですか。

随筆文は、
「私」が主人公
「おとなの作文」
ということができます。

①の「私」というのは、筆者です。
国語の文章を読んで「私」が出てきたら、まず「随筆文かな」と
予想をたてる習慣をつけましょう。

②については、いつも次の話をしています。
「遠足に行った。弁当がなかった。悲しかった」
これは、子どもの作文ですね。
最初の2文ができごと※、最後の1文が感想でできています。
(※一般的には「できごと」ではなく、「事実」とよばれています。)
わかりやすいですね。
これに対して、
おとなの作文は感想がわかりにくい形になっています。

ロジム本科で使用しているテキスト
5国上第13回発展問題で
「おとなの作文」をみてみましょう。

前半は

【できごと】 調理実習の失敗。
       母に料理の手ほどきを受ける。
【感  想】 54行目「卵一個で母が見せてくれた魔法」

となっています。これが感想? という感じですね。
子どもの作文にくらべると、わかりにくいですね。 

本文はさらに次のできごとに突入。

【できごと】 母から料理を教わった思い出の数々……
【感  想】 89行目「あの時間の豊かさ」

なるほど、おとなの感想は、気づきにくいですね。

随筆文を読み解くカギは
この感想が主題と直結しているところにあります。
つまり
この感想の意味するところを
言いかえ、対比を手がかりに
探っていくことが
主題への近道なのです(仮説思考リーディング)。

では、感想の意味を読み解いてみましょう。
まず「卵一個で母が見せてくれた魔法」。
もちろん母は魔法使いではないので、これは比喩ですね。
比喩は言いかえの一つです。
何を言いかえているかさがしてみましょう。
手がかりはできごとですね。
調理実習で失敗し、フライパンと卵はもうみたくない私が、
母の手ほどきで
43行目「もう一度やってみようかな」
53行目「料理に興味を持つ」までになります。
これを「魔法」といっているのです。
「母はすごい、母への感謝」といったところが
みえてきます。

つぎに「あの時間の豊かさ」。
「あの時間」というのは、86行目の「母と娘が台所にゆっくりと立つというような時間」をさしていますね。そして、
86行目「あわただしい今」と対比しながら、
89行目「何ものにもまさるもの」としています。
このことからすれば、
「尊い時間だった、母への感謝、母との思い出を大切にしたい」
といったところが感想といえましょう。

主題は、母への感謝でしょう。

「おとなの作文」、随筆。
大人って、ややこしいですね……。