小学校3年生のとき、家にゲームがなかった苅野少年は駅の近くに住んでいるお金持ちのK君の家に徒歩で遊びに行っていました。漫画、テレビゲームやゲームウォッチ完備。卓球場まであるK君の家までほぼ連日20分かけて歩いていました。
ある日、いつものようにアポなしでK君の家を訪問すると外出中とのこと。仕方なく帰宅する途中に「・・・・募集中!」という看板が目に入ります。「・・・・」は読めなかったけれど週刊誌や月刊誌のおかげで「募集中!」だけ読めました。「一体なにを募集しているんだ?」と見上げていると中からおじさんが出てきて話しかけてきました。何を話したかは覚えていませんが、そこは塾でした。なんと勢いでその場で入塾テストを受験することに。
今でも覚えているのが
問:適当な漢字を書きなさい
という指示にとまどったこと。
「適当な」の意味は、当時の私にとって「テキトー」。しかし、本当にめちゃくちゃな漢字を書いていいはずがないと考え、「テキトーな漢字」とは親が書いているのような走り書きの漢字だと判断して、一生懸命草書体のような文字を書きました。なかなかうまく書けず、左手で書いて提出しました。
そして、もう1つの暴挙。問題文に「俺」という漢字が出てきました。私は、K君の家で大好きな格闘漫画をいつも読んでいたのですが、その漫画では漢字とふりがなが正確には一致しておらず、意味をあてがっていたのです。好敵手に「ライバル」とふりがながふられているように。で、その漫画で「俺」という漢字に「とらまる」という登場人物の名前がふられていたのです。私は「俺」を「とらまる」と覚えてしまいました。ですので、その問題文をいつも読んでいる格闘漫画の小説版だと勘違いしました。その内容を知っていることをアピールしたいと考えた私は、記述のところに問題文で抜粋された部分には登場しないキャラクターの話を書いてしまいます。採点者はさぞ驚いたことでしょう。