何がわからないのかわかる力

竹村が個人的にとても大きな差をつける力だと思っているものに「何がわからないのかわかる力」
というものがあります。ロジカルシンキングで教える「仮説思考」の能力と共通する点が
多いと思うのですが、肝要なのが「プロセスを意識できるか」「今プロセスのどこにいるか意識
できるか」ということです。

問題を見たときにどんな子でも直感的にわかることがひとつあります。それが「わかる問題かわからない問題か」ということです。
わからない、ということはほぼ見た瞬間にわかります。

ところがここから、行動が大きく二つのパターンに分かれます。
一つめが、その瞬間に一気に集中力が落ちてしまう子。低学年だと特に顕著なのですが、
視線が紙から離れてあちこちさまよい始め、鉛筆が手からこぼれ、「できないー」を
連呼し始めます。

もう一つは、「この言葉どういう意味?」「この問題文の意味がわからない」「解き方がわからない」
と不満げながら質問をぶつけてこれる子。
違いは「この問題意味わからない」と考えるか「この問題のここが意味がわからない」と考えられるか
の差だと思います。

そもそも漢字そのものが読めないのか?読むことはできるけど言葉の意味がわからないのか?文章の
趣旨がわからないのか?情報をどう整理すればよいのかわからないのか?どの解法を使えばいいのか
わからないのか?一度習った解法でもうろ覚えなので使えないのか?

無意識なときもありますが、そこまで掘り下げて考えることができる子は、簡単に集中力が落ちません。
へんな言い方ですが「できない」ということに関してある意味で鈍感です。いちいちショックを受けない。
「この問題が解けない」と思うと「それは自分が頭が悪いからだ」と思ってしまいますが、
「問題文の漢字が読めない」と思っただけで「自分は頭が悪いなあ」とショックを受けることは
ないからです。だから、わからなくても堂々としています。

高度なレベルの作業ではありますが、考え方のクセのようなものなのでいわゆる「できる子」で
あるかどうかにそこまで関係あるわけではありません。むしろいわゆる「できる子」の中に
最初に紹介したパターンの子がとても多いです。

逆に、いわゆる「できる子」がどうかにかかわらず、教室で教えていて一番やりやすく、
沢山のことを吸収して帰ってくれるのは二つ目のパターンの子です。

ちなみに教える側としては、常にその子が「どのレベルでわかっていないのか」を考えていくことになります。

「できたときに誉めてもらえる」「達成したときの喜びを知る」というのは学習の大きなモチベーションに
なるのですが、「できないから怒られる」「できないからつまらない」というのは非常に危ない動機付けです。
できればご家庭でもできていない時に「どこができていないからできていないのかな?」ということを
考えさせるクセをつけてあげてください。