【自由研究】どこまで調べ、どこをやってみるのか

2019年 第17回調べる学習コンクールinとしま 優秀賞 審査員特別賞受賞

『クジラがプラスチックでおなかいっぱいにならないために』 林真由佳さん

 

こちらの自由研究のはじまりは完全にお母さま。何か課外活動的なものに取り組ませたいと考えていたところ、上野の国立科学博物館で催されていた「大哺乳類展2」で真由佳さんの印象に深く刻まれるような体験があったため、それをネタにして調べ学習を開始したそうです。

自由研究冒頭のきっかけから抜粋。クジラの胃袋の中が本当に衝撃的だったらしい。

今回のような調べ学習では、自分の中の知りたいという欲求を行動原理として、何を調べよう、どうやって調べよう、どこまで調べようなど、めんどくさいと感じられる阻害要因をあの手この手で排除していかなければ子どもたちが動き続けることはなかなか難しいです。さらに「調べる」→「気になる」→「調べる」・・・の繰り返しの中に「やってみる」や「確かめてみる」という楽しみを入れていきたいですね。今回は、①海辺に落ちているゴミ ②紙ストローの効果 ③自分の出すプラスチックゴミの量 の3つを確かめていました。①海辺に落ちているゴミのパートは以下のような感じでした。

「ごみが落ちているか心ぱいになりました。」とある通り、海水浴場は基本的にきれいに見えます。

 

このゴミ拾いをすることによって本当にかなりの量のゴミが海を漂っていると実感できたことでしょう。

海のゴミやプラスチックストローの実験が家で出るプラスチックゴミの量を確かめる作業とつながってきています。

やっぱり「途中で失敗に気づく」。小学3年の夏というタイミングを考えると、確かに面積と体積(容積)のどちらを使えばよいのかイメージがわきにくいでしょう。

そして計算してみたところ、林家が2か月程度で出すプラスチックゴミだけでクジラ1頭の胃袋をいっぱいにすることができるらしいです。ゴミすべてではなく、プラスチックゴミだけで。この結果を受けて真由佳さんが一言。

 

自由研究の最後にまとめとして書いてあった「私にできること」。皆さんも書いたことがあるはずのものです。当然私も書いたことがあります。この手のものは模範解答が分かってしまっており、書いても何も変わらないというか、書いているだけで実行しないというか・・・。書き手の心構え的な問題が非常に大きいと思います。

 

しかし、ここまで調べたうえで書いた「私にできること」だと意識が変わってきそうです。

表彰式では冒頭に、真由佳さんの作品にある海辺のゴミや家庭からでるゴミについてコメントがあったそうです。図書館主催の調べ学習のコンテストであるからこそ、実体験と併せた学習の貴重さを伝えたかったのではないでしょうか。