国語読解教室へようこそ 9

誰にも聞けない国語の素朴な疑問にお答えします!
それが、「国語読解教室へようこそ」です。
ということで、質問をお待ちしております。
本日は豊島区目白在住の柿ピーさん(仮名)からの質問です。
◎ 詩はどのように読めばいいですか?

詩も長文読解と同様に、
「対比」と「言いかえ」を追いかけていくと
主題をつかむことができます(仮説思考リーディング)。
とくに「言いかえ」については、比喩が多用されています。

比喩=言いかえ

言いたいことをいろいろな形にして伝えようとしているのです。
この比喩を理論的にささえているのが、重ね合わせです。
ここでおぼえておいてほしいのは、
ほとんどの重ね合わせが人間と何かになっているということです。
つまり、ほとんどの詩が人間をテーマにしているということですね。

『詩の世界』高田敏子(ポプラ社)※のなかに、
「イス」という詩があります。
これを例にしてどのように読み解くかみていきましょう。
※ 高田さんの『詩の世界』はぜひ読んでみてください! 

まず比喩はないか、さがしましょう。
イスが
「ふるさとの森林を」
「夢見ています」

イスは夢を見ないので、比喩だとわかります。擬人法ですね。
イスに「ふるさと」はないので、ここも比喩ですね。隠喩です。
ここにカギがありそうです。
何かとイスを重ねあわせているのです。
そうです。人間ではないかと仮説を立てていきましょう。

「イス」は木のいすでしょう
……もともと森林にあった……
「イス」が昔をふりかえっているのです。
つまり、人間が昔をふりかえっているのではないかと。

すると第2連で、
「人」が「イス」にこしかけます。

この詩のおどろくべきところは
重ね合わせが目に浮かぶ形で書かれているところです。
ここで「イス」と人間を重ね合わせているなと確信できます。
第1連の「若木の姿」は、「人」の若かったころのすがたですね。
(なお、高田さんの解説文でもわかりますが、
この「人」は高田さんのことですね。)

このように読み取ると
第1連の「小鳥のさえず」り=第2連の「心の音楽」
という言いかえにも気づくことができます。

もう主題はおわかりですね。
昔をなつかしむこころ
ですね。
「優しい目になる」とも合致します。