「ひらめき」を生む思考力の2つの正体 

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計算問題は解けるのに、応用問題になると手が止まる。テストの結果を見て、そう感じたことのある保護者の方は少なくないと思います。

「うちの子はひらめきがないタイプなんです」

そうご相談にいらっしゃる方が多くいます。ここで言う「ひらめき」とは、初めて見る問題に対する対応力のことです。「発想力」や「センス」と、呼び方はいろいろですが、指しているものは同じです。答えや道筋を瞬間的に思いついているように見える力です。

この力を「ひらめき」というなんだか神秘的で抽象的な言葉で捉えているうちは、残念ながら「ひらめき」を身につけることは出来ません。

どのような思考力、つまり思考技術のことを指しているのかを明らかにして鍛えなければいけません。子どもたちが「こうしよう」と認識できる行動にまで分解して、落とし込む必要があるのです。

そういう意味で、「ひらめき」を生む思考力とは主に2つのスキルを指しているということを説明したいと思います。

「なんでそんなことを思いつくの?」という質問に対して、思いついた人のほとんどは「似た問題を見たことがある」と答えます。つまり、ある人には見たことのない問題でも、ある人には見たことがあるのです。ではひらめきとは経験のことなのでしょうか?その答えはYESでもありNOでもあります。

ここで大事なのは「似たものを多く経験する」力ではなく、「経験を抽象化する力」です。

例えば図形の問題を解いたときに、「こんな補助線思いつかないよ」「この問題を覚えておこう」という経験量、知識量で対応しようとしてもキリがありません。

「この補助線はなぜ引くの?」 「補助線にルールはあるの?」

という抽象化することで、次の見たことのない問題に応用できるのです。

「円を見たら中心から切る補助線を考える」 「正偶数角形を見たら、向かい合った平行な辺を使って相似を作る」

と言った具合です。

このような「抽象化した経験」こそが、他の人が「こんなの初めて見る」と思っているときに、「あれと似てるな」と思える力の源なのです。

周りからは「ひらめいた」ように見える答えも、本人にとっては知識を繋げ合わせて「辿ってきた」というものがほとんどです。「風が吹けば桶屋が儲かる」の思考法です。

たとえば、算数の文章題でつまずいたとき、実はその子が数ヶ月前に習った別の単元の中に、そのまま使える考え方があることがよくあります。ただ、頭の中で今の問題と過去に習った内容がつながっていないだけです。「ひらめかない」というのは、知識が足りないのではなく、持っている知識同士の経路がまだ少ないという状態です。

問題なのは、多くの人は、この「つなげる力」とは、正しいつなげ方をパッと思いつく能力だと勘違いしていることです。だから「つなげ方の正解」を沢山覚えようという「型の暗記」、つまり量をこなそうという手法をとってしまいがちです。

しかし実際に「つなげる力」がある人は、「つなげ方」を試すスピードが速いのです。いろいろな知識を様々な形で「繋げて当てはめて」を繰り返しているのです。つまりトライアンドエラーです。

小学生は「トライアンドエラー」が苦手です。「エラー」が怖いからです。だから自分でトライアンドエラーをせずに、解説を聞いて、正解を覚えておこうとなってしまいます。そうすると、見たことのない問題が出たら止まります。しかし、「つなげる力」がある生徒は、その場でトライアンドエラーを素早くこなしながら、知識を繋げて前進していくのです。すると周りからは「ひらめいた」ように見えるのです。しかし本人は頭の中で汗をかいて、「辿り着いた」のです。

小学生の間は「トライアンドエラー」の過程自体を褒めて、促して、周りの失敗例も含めてて目にしておくことが大切です。正解だけをストックしていく勉強法は逆効果ともいえます。

多くの塾が「思考力を鍛えます」とうたいながら、実際には応用問題や初見問題の演習量を増やしているだけのカリキュラムを組んでいます。保護者の方も「とにかく繰り返す」を重視しがちです。その考え方の根底にあるのは、たくさん解けば「見覚えのある型が増える」「見覚えのある繋げ方が増える」という考え方です。しかし、問題を解いて丸をもらい、次の問題に進む、という反復だけでは、これはあの時学んだことと「同じだ」と気づくことはできても、「似ている」を見抜く訓練にはなりません。そして、どんなに「正解のつなげ方」をストックしても、現場で自分の力でトライアンドエラーをし続ける力は身につきません。

かつては、多くのことを覚えていること自体に価値がありました。しかし、調べる速度が圧倒的に上がった今、覚えている状態と、調べれば分かる状態の差はほとんどなくなっています。差がつくのは、知っている情報を組み合わせ、抽象化し、仮説を立てる力です。ひらめきがこれほど重視されるようになった背景には、この変化があります。

上で説明した2つの力を組み合わせた出題が増えています。
有名な問題や知識を「違う見た目」で出題する 簡単な知識を2つ3つつなげる「試行錯誤」を要求する。
これらを「量」で解決しようとしても、キリがなく、そして効果も薄いのです。

今の中学入試は勉強の「量」ではなく「質」を要求してきているのは明らかです。

私たちの塾名「ロジム」は、ロジカル:LOGICAL(論理的な)とジム:GYM(訓練所)を組み合わせた言葉です。筋肉と同じように、論理的な思考力も集中的な訓練によって鍛えられる、という考え方に基づいています。

1. 「ロジカルまとめ」で抽象化して応用力を磨く。

「ここで役立った考え方は?」を抽象化、言語化することで1つの問題が「いろいろな問題に似てくる」のです。考えるための武器がどんどん増えていく「ひらめき」の素です。

2. ロジカルシンキングで「言い換え力」と「もれなくダブりなく試す」力を高める

特に「言えること」「言えそうなこと」「言えないこと」を区別しつつ、特に「言えそうなことは?」という問いかけを重視して、試行錯誤の質を高めるとともに、実験を怖がらないメンタリティを育てます。

さらに「もれなくダブりなく調べる」スキルを養うことで、「ひらめく」のではなく「効果的に辿って見つける」力を身につけます。

思考力は一夜にして身につくものではありません。しかし、この手順を積み重ねれば、確実に鍛えられる力です。実際の授業で、お子さんがどのように気づき、どのようにつなげているか、一度教室で見ていただければと思います。

思考力(ひらめき)とは具体的にどんな力ですか
他の人には似ているように見えない知識を応用する力。知識と知識をつないで、他の人にはたどり着けない所にたどり着く力です。これらは周りからすると「突然答えを思いついている」ように見えるので「ひらめき」と呼ばれています。パッと湧いて出てきたように見えるものの正体はこれです。
ひらめく子とひらめかない子は生まれつき決まっているのですか
決まっていません。ひらめきは計算力と同じで、訓練によって伸びる力です。ただし計算力と違い、同じ形式の問題を繰り返すだけでは伸びません。「これは前にやった問題と同じ考え方だ」と気づくための特化した分解練習が必要です。
家庭で思考力を伸ばすためにできることはありますか
お子さんが問題を解けずに固まったとき、すぐに解き方を教えるのではなく、「あと何が分かれば解けそう?」「前にやった問題で似ているのはなかった?」の2つを順番に聞いてみてください。答えを教えるより効果があります。
思考力を鍛える塾を選ぶとき、何を基準にすればよいですか
わからない問題に対して、すぐ答えや解法を教える塾と、「何が分かれば解けるか」「前に似た問題がなかったか」を段階的に問いかけて生徒自身に気づかせる塾は別物です。後者の手順を毎回踏んでいるかを見てください。
思考力を鍛え始めるのに適した学年はありますか
早いに越したことはありませんが、決まった開始年齢はありません。今習っていることと以前習ったことを結びつけようとトライアンドエラーをした機会が多いほど、ネットワークは育っていきます。「試行錯誤」を怖がらない姿勢が身につけば学びの速度にとって抜群に効果的です。学年を問わず、今日から始められます。
ロジムの授業では具体的にどんなことをしますか
生徒が問題を解けずに固まったとき、答えは教えず、「言えそうなことは?」「足りないことは?」「前にやった問題で似ているのはなかった?」の順で問いかけます。生徒が自分で類題とのつながりに気づくまで、この2つの問いかけをくり返します。具体的な「ロジカルまとめ」や「ロジカルシンキング」の教材を用意しています。
さらに小学生のうちは間違いが怖くて思考停止してしまいがちなので、僅かな前進を見逃さずに評価する授業運営をしています。