こんにちは。竹村です。
中学生のころアガサクリスティのポワロシリーズにはまって
読み漁っていました。何せ中身の薄い娯楽小説なので、もう大半は
忘れてしまったのですが、ひとつ印象に残っているシーンがあります。
シリーズ最後の「カーテン」という一冊で、
ヘイスティングス大尉が長い年月を経て再びスタイルズ荘を訪れた時のことです。
もう完全に中年のおじさんになってしまったヘイスティングスが
若かったころを思い出してこんなことをいいます。
「あのころは若さも青春もあって幸せだったなあ。いい時代だった。」
それに対してポアロがすぐに反論します。
「そうでしたっけ?私の記憶だと確かあのころのあなたは一度に二人の女性
に恋をしてその両方から振られて結構不幸せだったはずですけど。」
実際にシリーズ第一巻「スタイルズ荘の会事件」を読み返してみると、
それはもう気持ち良いくらいの振られっぷりで、確かに全く幸せそうには
見えません。
人はついつい「昔は良かった…。それに比べて今は…。」なんてことを
言ってしまいがちだけれど、実は昔だってそれなりに大変だったり
苦しかったりしてるのだ、ということをさらっと盛り込めるクリスティは
すごいなあ、と感心しました。
さて、そんな話から何がいいたかったのかというと、
実は小学生もそれなりに大変だったり苦しかったりしている
のではないでしょうか、ということです。
竹村自身も小学生のころなんて楽しかった記憶しか残っていません。
また、実際に小学生を見ていても能天気に見えます。
でも、小さいことにみえても悩んでいるときもありますし、
ただわがままを言っているだけのように見えても
本気でいやがっていることもあります。
少なくとも本人には「自分は幸せで今は些細なことで
感情を揺らしているだけだ」なんて意識はないはずです。
それを大人の価値観で、
「子供なんだから自分たちより気楽で幸福にちがいない。」
と決め付けていい加減な対応をしていたら、
本人にとってはひどく重たいことを押し付けてしまうかもしれない、
ということを常に念頭において接しようと心がけています。
数年後に子供たちが「今もすごく楽しいし、小学生のころも楽しかったな。」
と思っていられるような環境づくりに貢献できればうれしいです。