今年の算数の問題より

多くの保護者の方から、今年の〜中はどんな問題でした?という話題で話しかけられました。軽く感想を。

開成中
(全体として)
気合いと基本問題の暗記で合格できる傾向が続いてます。他の科目も含めて「試験をバランス良く乗り切って合格点をとるのが上手い子」が欲しいのでしょうか。東大→資格職業が異常に多いのも頷けます。「受験生のレベルに即して機能する試験」を模索しているのは東大数学と同じでしょう。

1番
(1)計算問題:字が読める4年生なら解けます。
(2)図形で「差」と出てきたら「共通部分」に気をつける。そして、円周上に点があれば、中心から切り分ける。といった指導は全員受けているはず。ぱっと見た感じ灘のあの過去問を思い浮かべた生徒もいたかもしれないけれど、横線のみなので、教科書通りの手順を踏んでいけるかどうか。

2番
(2)は引っかけ問題なのでしょうか?意図がわかりませんが普通のニュートン算で7.5分が小学生の限界だと思います。
1分に10人行列に加わり、券売機が1分に5人処理することになりますが、そうすると7.5分(=450秒)がありえないことになります。7.5分で、375人を処理したことになりますが、券売機が37.5人の処理となります。0.5人ってなんだよ!ということで、券売機のうちいくつかは38人処理し、いくつかは37人だったということですね。(当然5台ずつ)というわけで38÷5=7.6分が正解。これに気づくのは少しきついかな。「文系数学」で出そうなひっかけでしょうか。

それよりも、ここに気づいた受験生は、おそらくここで振り返って、(1)の300人の方は?と考えるはず。そうなるとドツボ。

ドツボ1
券売機が5個とあるんだけど、最後の瞬間は1つだけしか動いていなくても5つ動いていた場合と同じ時間がかかる。よって296〜299人でもいいのでは?全部答えか?計算して確認してみよう・・・(10分経過)

ドツボ2
あれ?1分に「10人」ずつ行列に加わり、1分に「5人」ずつ処理、という値は「すべての券売機が同時に処理し終えた」と考えて計算したんだから、これを使って確認していいのかな?もしかして「1分に?人ずつ行列に加わり、1分に??人ずつ処理すると、元は297人」なんてことがありえるのか?例えば5台つかって20分で終えたときは最後は1台のみ、6台使って15分で終えたときは最後は2台のみだったとして計算すると増加人数も処理人数も違う値が求まるのでは?・・・(さらに10分経過&パニック)

こんな感じになる可能性大。(2)を7.5分でさらっといくのが無難だったかな。というか、開成の過去問対策をしていた生徒にとっては、こんなひねりは想定外だろうから、さらっといってしまうのでしょう。

3番
問題文を見て、明らかにオーラが違う問題。2番に時間をかけなかった受験生なら、ここが時間の割きどころだと判断したことでしょう。とりあえず登場人物の名前に無駄な配慮が・・・。
(1)字が読めれば解答可能
(2)気合いがあれば解答可能
(3)(1)と(2)から法則を読み取れれば解答可能
という規則性の問題の基本配列。
実際は、(1)の十野くんの解答が、五十川くんの解答に、そしてそれらが(2)にというように初っぱなからきれいに作られています。この類題は、どこでも指導されているだろうが、「解ければいいや」という態度の生徒はこういった姿勢が身についていない。これは、数学能力の伸びの根本に関わるものなので、(2)までで止まってしまう気合いの解答とは差をつけてほしいものです。この問題で差をつけないと、上位陣は全員同じ得点になる気がします。(この辺りはどうでもいいのかな・・・)

4番
このタイプは私は飽きましたが、立体問題への対処能力を見るという点では古典的な良い問題。これが出来ないと準備不足だろうと、能力不足だろうと入学する資格なしという最低限の障壁。正直、小学生の立体問題はこれぐらいのレベルに押さえた方がいいです。これより難しいものは、「算数・数学」の域を超えてしまうし、試験の意味をなさないことが多いです。

(まとめ)

・どの塾のテキストにものっているが、技巧的なので繰り返し演習していないと完答できない
・図形を含め具体的な題材が多く、その具体性からくる場合分けが面倒

という特徴は、まさに東大文系数学といえる気がします。

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