最近あった教室運営へのご意見が「教えることのレベルをクラスの平均に合わせるべきではないか」というものです。クラスの中の大体真ん中くらいのレベルの子に進度・難易度を合わせるべきだというものです。
一見ごもっともなんですが、これは間違っています。
まず前提として、主体的に学習に向かっている集団にとってちょうどいいレベルは「ちょっときつい」という状態です。難しいのだけど、すこし頑張ればわかるというものです。「かんたん」または、「きつすぎる」というレベルでの学習効果は「ちょっときつい」に比べると大きく落ちます。
この前提の中、クラスの平均の生徒に授業レベルを合わせると、学力上位の半分の生徒には「かんたん」な授業となり、他の教室、もしくは他のクラスに移動させないと成果はでません。この生徒たちを移動させると、もともとのメンバーの学力下位の生徒が残ります。
この残ったクラスでもやはりばらつきはあるので、またこのクラスの平均にレベルを合わせることにします。
すると、自然とこの新しいクラスの上位半数はこの教室で授業を受ける効果はなくなります。
これを繰り返すと、最終的には元々のクラスでもっとも学力が下位の一人になってしまいます。
現実、生徒が一人になるまでクラス分割をすることはありえませんが、構造として、「クラスの平均に授業のレベルをあわせる」ことの間違いがあることがわかります。
では、どうすべきか、クラスをできるだけ同じ学力に区切り、そしてその集団の中でもトップレベルの子に合わせた授業をすることです。
言い換えれば、クラスの全員が「ちょっときつい」という状態をつくることがクラス設計の大事な要素です。