
「読解力」が問われる最新入試問題を紹介します。今回は2024年の渋谷教育学園渋谷の理科です。本問のように、「教科書のような説明を全部与える」タイプの出題は上位校だけでなく、中堅校にも多くなってきています。
普段、塾の先生がやってくれている図式化・箇条書き・チャート化を自分でやることで、「この説明文から言えること」を導き出すことが求められています。
【問題】以下の図4は食物連鎖を通じて、植物が作り出した栄養分が草食動物に、また草食動物から肉食動物へと栄養分が移動していく様子を表したものです。

図4 食物連鎖を通じて栄養分が移動していく様子
問4 文中の下線部について、エルニーニョが発生すると、通常の時期よりも植物プランクトンのサイズが小さくなることがわかっています。以下の表に、ペルー沖に生息している生物のサイズ(平均値)を示しました。条件1と条件2および図4をふまえて、海鳥の個体数が減少する理由を2行以内で説明しなさい。
表 ペルー沖に生息する生物とそのサイズの平均値
| 生物 | サイズの平均値 |
|---|---|
| エルニーニョ期の植物プランクトン | 0.005 mm |
| 小型の動物プランクトン | 0.02 mm |
| 通常期の植物プランクトン | 0.2 mm |
| 大型の動物プランクトン | 1 mm |
| 小型の魚類 | 1 cm |
| 大型の魚類 | 1 m |
| 海鳥 | 1.5 m |
条件1 食べる側は食べられる側よりもサイズが大きい。よって、自分よりサイズの大きい種を食べないものとする。
条件2 エルニーニョ期の植物プランクトン全体と通常期の植物プランクトン全体が、光合成によって作り出す栄養分の量はほぼ同じであるものとする。
問5 問4で、海鳥の個体数が減少することが、どのような形で農作物の収穫量に影響を与えていると考えられますか。1行で説明しなさい。
【読解のポイント】
形の違う資料を同じ形に整理して読む力
ロジムでは、このような読みにくい説明文を箇条書き・図式化して読解する練習を取り入れています。知識ではなく、その場で与えられた説明文を正確に読み取る力が身に付きます。また、複数資料を見やすく整理することで、「関連性」を見抜きやすくなります。読解力のある生徒にとっては「全部書いてあるじゃん」となる本問のような出題は今後も増えていくでしょう。
このタイプは「よく読めばわかるでしょ」という雑な解説になりやすいものです。ロジムの読解力授業のように、解像度高く「どのようにして読む技術が求められているのか?」を理解して指導することが大切です。
中学受験でやりがちな読解力の落とし穴:5つのパターン
(1)全部読まない:飛ばし読みだけでなく、主語、係り受けを読み飛ばす
(2)条件を忘れる:与えられた指示や前提情報を忘れてしまい、作業でミスをする
(3)言い換えられない:同じ意味の日本語に変換できずに、違う言い方をされていることに気づけない。違う言い方をできない。
(4)想像できない:文字で表されている物語を映像的にイメージできない。
(5)数式化・図式化できない:文字で与えられた情報を算数語である式や図に変換できない



