世界大会へ向けた発射練習に密着 / 鳴り響く発射音 噴き出る煙 空高く打ち上がる機体

今回は、ロジムに7歳から通う橋本さんが立ち上げた「都立小石川ロケット班」のロケット発射練習を見学してきました。場所は千葉県船橋市にある日本大学のグランド。4月下旬に行われたこの練習は、8月に開催されるモデルロケット世界大会に向けた重要な一歩です。国内大会を制した彼らが、世界の舞台でどんな活躍を見せるのか、その準備の様子をたっぷりお届けします。

モデルロケットは法律や安全規制により、どこでも打ち上げられるものではなく、適切な場所の確保が大きな課題です。そんな中、都立小石川ロケット班が千葉県船橋市の日本大学グランドで試射を実施しました。

今回の練習は、日本大学のロケットサークルの打ち上げに「相乗り」する形で実現。広大なグランドの一部を借り試射を行いました。この縁は、班長の橋本さん(高校2年生)が日本大学の教授に打ち上げ場所の提供を依頼したことから始まりました。彼の好奇心と行動力が、チームに貴重なチャンスをもたらしたのです。

世界大会に向けた準備として、小石川ロケット班は3日分の練習を予定しています。今回の千葉県船橋市での試射は、その初日にあたります。この日は2つの機体を使い、計4回の打ち上げを予定。世界大会と同じ基準の機体で飛行性能を確認する重要な機会です。

モデルロケットの打ち上げには大きな費用がかかります。ロケットのエンジンは日本国内で製造されておらず、海外から輸入する必要があります。輸送費や保管費に加え、近年の円安による価格上昇もあり、1日あたりの練習費用は約30万円に上ります。高校生にとって決して小さくない金額です。そのため、限られた練習回数で最大限の成果を上げることが求められます。

練習機会が限られているからこそ、小石川ロケット班は事前準備に全力を注ぎます。入念な機体チェックやシミュレーションを行い、1回の発射から最大限のデータを収集することに注力。この「少ない機会を最大限に活かす」姿勢が、チームの強みとなっています。潤沢な練習が可能な海外チームに対し、緻密な準備とデータ分析を武器に挑む彼らの戦略は、世界大会での競争力となるでしょう。

発射台も自作です。台の部分は橋本さんの天体望遠鏡の三脚を転用です。
宇宙飛行士に見立てた生卵2個を搭載し、既定の高度に達した後、卵を無傷で回収できるかを競う競技です。割れないようにウレタンのスポンジでしっかり卵を守っています。この卵を守る素材に関しても、多様な素材を用い卵をつつみ何度も校舎の屋上から落とす実験を行い、たどり着いたのがウレタンだったとのことです。

鳴り響く発射音、噴き出る煙、空高く打ち上がる機体。感動します。

今回の試射では、細かなデータ収集よりも、特定の目的に焦点を当てた実験が行われました。それは、これまで使用していなかった「世界大会用機体」の飛行性能の確認です。この機体は、世界大会の厳格なルールに則って新たに製作されたもので、今回の試射が初の打ち上げとなります。主な目標は、「そもそも打ち上がるか」「パラシュートが正常に開くか」を検証すること。今回の打ち上げを通じて、基本性能を確かめるための重要な第一歩となりました。

班長 橋本龍之介さん