PROFILE & INTERVIEW
苅野 進 -Shin Karino-
(代表取締役・共同代表)
東京大学文学部哲学科卒。経営コンサルタント。学習塾の経営を行ないながら有名企業、スポーツチームのコンサルも同時に行なっている。『10歳でもわかる問題解決の授業(フォレスト出版)』などロジカルシンキングに関する多数の本を執筆。

出身地 | 東京都 |
最近読んだ好きな本 | 大学のときに哲学科で難しい本をたくさん読みすぎた反動で、わかりやすい物語が最近好きです。というわけで最近は伊坂幸太郎や村上春樹、石田衣良が好きです。数学は数学科修士で学ぶ位のことまではわかるのでその程度の数学の本を読みます。 |
小学生に読んでほしい本 | 漫画「スラムダンク」、小説「風が強く吹いている」です。スポ根です。 |
見に行ってほしいオススメの場所 | お薦めの本に共通しますが、何でもよいので一流選手の練習風景。小学生には「自分で歯を食いしばること」の大切さを知ってほしいです。スポーツ選手でもアイドルでも人が本気で準備している姿を見てほしいです。 |
尊敬する人物 | 母親です。思いやり、心配り、腰の低さで人に不愉快な思いをさせることがない人でした。本人は意識してはいなかったと思いますが、こういう姿勢は非常に価値のあるものなのだなと思います。 |
いま熱中していること | ランニングと数学、そしてアジア旅行です。先日初めて広州に行ってきました。 |
INTERVIEW

小学生時代はどんな子どもでしたか?

ミニ四駆とドラクエとプラモデルに夢中な普通の小学生でした。 読書よりもジャンプとコロコロコミックでしたね。 振り返ってみても、結構ぼーっと生きていました。

塾には通っていました。小学校3年生の時、友達の家からの帰り道、「生徒募集中」という塾の看板を見て、何気なく覗いたら、説明をうけて通うことになったんです。
いざ通い出してみると、講師の話を聞いて、問題を解くこと自体は楽しかったことを覚えています。小学校は嫌いでしたが、塾は好きでした。塾での友人とは今でも付き合いがあります。

中学、高校と勉強はしていましたか?

宿題は、高校3年生の部活引退までとうとう、やっていきませんでしたね。
勉強は嫌いではなかったのですが、やりたいタイミングでしか、やりませんでした(笑)
300人中250番以下が定位置でした。

「これをやっておいたほうが良かった」と今だから思うことはありますか?

勉強って受験のタイミングで、一生懸命始めることが多いですが、学校の先生も親も、入試に受かることを考えると、苦手の克服に時間を割かせます。
入試の勉強では、得意を伸ばすとすぐ頭打ちになるので、苦手の克服に時間をかけるようになりますから。
ただ、今振り返ると、合格のためにさいた時間によって、得られたわずかな点は、自分の役に立っていないのです。点数は上がりますが、僕の人生が豊かになったかは別の話。得られたのは、合格だけです。
そう考えると僕はやっておけばよかったと思うのは、数学です。数学は、やればやるほど、見える景色が違ってきます。もっと高い風景が見えたかもしれません。

保護者の人たちは、平均ちょっと上ぐらいがみんな好きなんですよ。けれど、僕はその程度のものは武器にはならず、それよりもどこかに偏っている、突き抜けている人や物に興奮する人間なんですね。
自分があまり好きではなかったものに、時間にかけても、今に繋がっていないと感じています。まあ、これはあくまで人生哲学です。何事も平均点を取りますって人が活躍できる場所も多いですから。
東大に入って分かったことは、思った程勉強できる人ばかりではないということです。塾などのフォローがない中で勉強するということができないのでしょうか。大学から始まる科目でつまづいている人が思いのほか多かったです。

大学を卒業され社会人になってから、学習塾ロジムを設立するまでに、どのような気づきや、きかっけがありましたか?

引き金になったのは、コンサルタント時代です。これからの社会を背負って立つ大人たちに失望したのです。
クライアントの社員の多くは、MBAホルダーでいわゆるエリートたちでした。すでに「ロジカルシンキング」という科目も学んでいます。日々この人たちとプロジェクトごとの仕事をしていたのですが、相手目線に立てない人ばかりだということに気づきました。
相手が決めたら、決めたまま。相手が理解できなければ、相手のせいにする。本来の商売で必要なコミュニケーションが何もできないのです。
ロジカルシンキングって、数学を除くとロジカルっていう世界共通の基準があるわけではなく、相手にうまく伝わることを形容して、「ロジカル」と呼んでいるだけなのです。

ロジカルシンキングの教科書を絶対的な基準と考えて、それを踏襲すれば正しく、問題を解決できる、伝わると思っている。できなければ、相手が悪いという発想が根本にあるのですね。 今までの人生は、正解ばかりだったのでしょう。正解しない人は子どものころから切り捨てて育ったのです。
そんな大人の考え方を目の当たりにして、これは学びの根本を子どものころから見直さないとダメだと思い、学習塾ロジムの立ち上げを決めたのです。
「伝わりやすい人」にだけ伝えて、「伝わらない人」は切り捨てる。これでは商売はダメですから。

今の話を伺うと、学習塾ロジムで伝えよう、大切にしようとしているのは、「思いやり」や「心」かなと思えたのですが

ロジカルシンキングに「思いやり」や「心」を伴ってほしいと思っています。だからこそ小学生から始めることに意味があると考えています。「心」って教えにくい部分ですよね。
子どもの世界は、弱いもの勝ちという面があります。子どもだと、伝わらなかったとか、傷つけてしまったとかは、直接自分に跳ね返ってきます。泣いちゃったとか。強者の論理で相手を倒すと、しっぺ返しにあいます。
子どものころからいろんなトラブル、多様性を経験して初めて、相手の気持ちをわかるようになれるのです。
社会人になって、正論で相手を倒していった先には誰も相手がいなくなってしまうことがあります。そうなれば、結果として商売はできません。

そういったコミュニケーションの取り方の方法が、「ロジカルシンキング」という言い方になるのでしょうか

「ロジカルシンキング」はいわば型です。大人向けの本を見ていただければおわかり頂けると思います。ただ子供たちには「型」と同時に「心」を身につけさせることに徹底的にこだわっています。私の気持ちとしては「心のこもったロジカルシンキング」です。

教えているのは、上の図でいうとAにフォーカスしていますが、社会人としてもっと必要なものは、Bにもたくさんあります。愛嬌とか(笑)
Aだけではない、必要なものがいっぱいあります。それをAを使う期間を長くすることで経験してほしいのです。

別の言い方でいうと、ロジカルシンキングの「効用」と「限界」を知らないといけないのです。論理的思考を教えている塾ではありますが、その限界はあります。
ただ、絶対的にロジカルシンキングの手法が必要なところもあるのです。その両方を知る必要がありますね。

いま何か社会で気になることはありますか?

教育の過度なサービス化です。学校も教材も子どもたちを「お客様」と考えて、ストレスフリーの方向に動いています。消費者として20年生きてきた子どもたちが突然わがままな消費者を相手にサービスを提供する側になるのはとてつもないストレスで、対応できない若者が増えてしまっているのではないでしょうか。

ロジムではある意味「助けない」教育をされている感じがしますが

やりたくない子どもに、「やれ!」っていって、出来るようになることはありません。
サッカーのジーコ監督が言っていました。指導者が間違ってはいけないことが1つあると。「やるかやらないか。主導権は選手にある」と、言うのです。
無理やり嫌がる子どもに力でねじ伏せても意味がありません。よく「宿題だとやるから、出してください」と言われますが、本当に子どものためにはなりません。 やれと言われたからという理由で流れ作業のようにこなしていただけで学力が身についていなかったという上っ面だけのコツコツ派がどれだけ多いか。
自分で動いて、自分で結果を受け止めて、次に活かす。このサイクルに耐えられる思考力と精神的強さを身につけてもらいたいと思っています。

嫌いなものを好きにする方法ってありますか?

それって本人の目線では絶対に出てこない夢ですね。親と先にお金をもらってしまった指導者の思考です(笑) 嫌いになってしまったケースとして、「難しい」「解らない」ということが多いと思いますが、だいたい保護者や学校が学ばせようとする教材を見ると、本人にとってオーバースペックな場合が多いですね。9割ぐらいそうですよ。
僕が薦めているのは、子どもが読んだ瞬間、全体の7~8割はすっと入ってくるぐらい、理解できる中身や問題を選ぶこと。そうしないと、残りの2~3割を集中して理解することができないのです。8割ぐらい解かるもの選ぶと、小さい成功体験を積み重ねることで好きになることがありますね。そうすると難しいことへのチャレンジ精神も芽生えてきます。

また、「嫌いになるきっかけ」として、嫌なタイミングで強制する大人の存在も無視できません。「嫌なことでも我慢していればいいことがある」というのは好きなことの中に紛れ込ませなくてはいけません。
サッカーが好きなら、つらいトレーニングに耐えることで成功体験を得られる可能性があります。しかし、本人が渋々やっている努力ってほとんどの場合報われません。苦しんでいる程大したことをやっていないからです。しかも報われなかった責任を押し付けた大人に負わせようとします。

学問そのものの輝きに魅了されて引き込まれていくという幸せな出会いは残念ながら少ないでしょう。それだけで相当な才能だといえます。
そうではない普通のお子さんの場合は、今申し上げたような成功体験の積み上げによって、やれば前進できるという気持ちと姿勢を身につけることを目標としてほしいですね。

ありがとうございました!
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