学びを活かす応用力とは?
学んだ知識を実際に使いこなすことが難しいと感じたことはありませんか?例えば、教室や問題集では解けた問題も、初めて見る形式だと手が止まってしまうことがあります。これは、目の前の問題が過去に学んだものと同じ構造だと見抜けないことが原因です。
この「応用力」を身につけるカギとなるのが 抽象化 です。今回は、知識を抽象化して応用力を伸ばす方法についてお話しします。
抽象化とは?
抽象化とは、具体的な事例から共通する本質を見つけ出し、汎用的なスキルに変換することです。これにより、新しい問題にも知識を応用できるようになります。
例えば、小学生の算数で出題される「碁石の問題」を例に考えてみましょう。
例題:碁石の問題
碁石が一辺10個の正方形に並んでいます。一番外側に並んでいる碁石の数は何個ですか?
解説:
- 正方形には4辺あるため、10 × 4 = 40個
- 角を2回ずつ数えているため、40 – 4 = 36個
この問題を学んだ後、「ビー玉」や「異なる形状」で同じような問題が出題された場合に対応できるかが応用力のポイントです。
碁石という具体例を、「数えられるもの」というように抽象的な考え方に変換することで、新しい条件にも対応できるようになります。三角形になったり、二重、三重に並んでいると、途端に間違いが増えてしまいます。
これらに対応するには、この碁石の問題の解説を「辺に並んでいる総数を掛け算で数え上げるときには、角のダブりに注意する」とか「角の数え間違いを防ぐために、角の部分だけは書き出して確認する」というように抽象化しておくことが必要です。
もちろん、「応用問題」に事前に取り組んでおければ判別して解くことができるでしょう。しかし、現実には「パッと見たところ初めて」という形で現れることがほとんどなのです。
問題の解説を聞いて、「この問題はこのようにしたら解ける」とだけ頭に入れていては、「この問題」以外は対応できません。抽象化しておくことで、次に出会う問題にも適用できるのです。
これが応用力の基礎です。
応用力を高める2つのステップ
1. 他の題材でもできないか?を考える
碁石の問題を基に、ビー玉や異なる図形、一番外側以外など条件を変えて考えてみましょう。これにより、問題のバリエーションを認識する力が養われます。
2. どんな時に使う?を考える
碁石の問題は、「掛け算を使う際に、同じ箇所を2回数えてしまう危険性がある部分に注意を払う」という力を鍛えるものです。これは、ロジカルシンキングの基本である「重複を避ける」視点を学ぶための重要な練習です。
この問題は小学4年生のテキストに登場しますが、本質は「数えるときに重複部分に注意する」という抽象的なルールを身につけることにあります。これを学んでおくと、似たような問題にも対応しやすくなります。
高校数学では、このような抽象化の視点が特に重要になります。数学の出題者である教授たちは、「この知識はどのような問題を解くために必要なのか?」という本質的な問いを試験問題に込めることが多いのです。
例えば、因数定理を覚えている生徒は多いですが、「どのような問題で因数定理を使うのか」と問われると答えられない場合が少なくありません。それでも因数定理は頻繁に出題されるため、このような知識の使い方を具体的に理解しておくことが重要です。
抽象化を学びの中に取り入れよう
「応用力」とは「抽象化する力」。
「この問題をこう解く」と覚えるだけでは、新しい問題には対応できません。抽象化を意識することで、学んだ知識を汎用的な形に変換し、新しい問題でも自信を持って取り組めます。
このスキルは、中学受験の算数や高校数学だけでなく、将来の問題解決力にもつながるものです。ぜひ日々の学びに取り入れてみてください!
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