【レジェンド問題紹介】既存知識に頼らずに実験から考察する(灘中より)【対象学年:4年生以上】

長い年月を経ても出題され続ける”レジェンド問題”を紹介します。多くは過去の入試問題であり、出題者から受験生への強いメッセージがこもった良問たちです。

問題

植物は種をまいてから一定の時間が経過すると花がさくと思われがちですが,実際には冬をこして昼の時間が長くなると花をつけるものや,夏至以降,秋にかけて昼の時間が短くなるとつけるものもあります。

これらの植物では,昼夜の長さを葉で感じているようです。そこでよく知られているアサガオがどのような光の条件で花をつけているのか調べるために次のA~Fの実験で調べました。

ただし調べるアサガオはある1つの品種に限定し,光以外の条件はすべて同じにして,それぞれの実験において10個の植木鉢で結果をみました。

nada1.jpg

この結果にもとづいて以下の問いに答えなさい。

(1)
実験から導かれる結論について述べた次の文章で,{ }はどちらかを選び,( )には適当な値を整数で答えなさい。

『このアサガオの品種で少しでも花がさくためには{ア 昼間  イ 夜間}の{ウ 合計時間  エ連続時間}が,( )時間よりも{オ 長い  カ 短い}必要がある。』

(2)
下の図はハワイでの日照時間のうつりかわりを表したものです。「種が発芽して,葉が出たばかりのアサガオの鉢植え」を日本から,いきなりハワイに運んだ場合,どのように なりますか。(1)から導かれた開花の特徴から考えて,次のア~エから選びなさい。

nada2.jpg

ア いつまで待っても花はさかない。 
イ 6~7月に移動したのであれば花芽ができ,さき始める。
ウ 6~7月以外に移動したのであれば花芽ができ,さき始める。
エ 何月であっても花芽ができ,さき始める。 

(3)
キクはアサガオと同じように光の条件がととのうことで9月の上旬に花芽ができ,10月の下旬に開花します。このキクを正月に出荷するためには,花芽の形成自体を遅らせる必要があります。どのような処理をすればよいか20字以内で答えなさい。ただし温度条件は考えなくてよろしい。



















ヒント

今回はヒントなしです

回答

(1)イ、エ、9、オ

(2)エ

(3)夜間に電灯でキクに光をあてる


解説

(1)
与えられた実験結果から、開花に影響を与えるのは夜の長さだとわかります。B、E、F を比較すると昼の長さが関係ないことがわかるはずです。

AからCより、その夜の時間が少なくとも9時間必要であることがわかり、また、DとEを比べることで、開花に必要なのは夜の時間の合計ではなく、連続時間だということがわかります。 

物事を比較するときのコツを身につけましょう 

(2)
グラフよりハワイでの夜の時間は絶えず10時間以上とわかる。 (1日は24時間であり、日照時間が最長でも14時間 )

(3)
(1)~(3)を通して「示された実験結果から仮説を導き、その仮説をもとに問題を解く」 というタイプの思考力問題です。

既存の知識は意味を持たず、その場で仮説を組み立てる必要があるという意味で、受験生の思考力を測る良問だと思います。

ポイント!

こういった問題に対し、「こういうの習ってないからわからない」という反応をした生徒は勉強方法を大きく変えないと、そもそもどれだけ勉強時間をとっても成果はあらわれません。

知らない問題、見たことのない問題を解けるようにすることが、本来の学習の目的とも言えます。

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