長い年月を経ても出題され続ける”レジェンド問題”を紹介します。多くは過去の入試問題であり、出題者から受験生への強いメッセージがこもった良問たちです。

みなさんの身のまわりにある物質は、とても小さな原子という粒からできています。また物質によっては、いくつかの原子がくっついてできた分子という粒が集まってできているものもあります。
原子の種類はたった100種類くらいしかないのに、身のまわりにはきわめてたくさんの種類の分子があります。これはなぜでしょうか。
そのようなことを考えるモデルとして、図1の玉を「原子」と考え、それらが結びついてできるものを「分子」と考えることにします。

これらの玉の形はいずれも球で、同じ種類の玉はすべて同じ大きさです。2と3と4はほぼ同じ大きさですが、それに比べて、1の大きさは他の玉よりかなり小さなものとします。そして、それぞれの玉にかかれた数字は、その玉と接する玉の個数を表し、その数より多くなることも少なくなることもありません。
(問題文以下省略)
問7 「③だけを4個使った分子」はどのような形になりますか。図を使って簡潔に説明しなさい。
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4個の玉のうち、まず3個の玉から手が3本出ている形を作ることを中間目標にします

3個をくっつけて正三角形をつくり、その上に1個をのせた形(正四面体)。


それぞれの玉から手が3本ずつ出ていて、それらが握手をすると考えてみましょう。
まず、2つの玉が3本ずつ握手をしてしまうと、残りの玉がくっつくことができません。そして、3つの玉をくっつける際に、下の図のように1列(L字も結局同じことです)にくっつけてしまうと、手が5本あまり、残りの1つの玉とちょうどくっつけることはできません。
そこで、3つの玉を輪のように(実際は正三角形型)くっつけてみると、ちょうど手が3本あまることがわかります。この状態で残りの1つをくっつければよいのです。

一見すると、原子や分子についての知識を問う問題のように見えますが、実際には、与えられた条件を読解し、論理的に考え、立体的な形を想像する力を試す問題となっています。
原子や分子についての知識がなくても問題に取り組めるという点は、重要な視点です。知識がないことを理由に諦めるのではなく、与えられた条件をもとに論理的に考えることの大切さを示唆しています。これは、未知の問題に直面したときにも、柔軟に対応できる思考力の重要性を示しているといえるでしょう。