【中学入試/女子学院】どのような準備をすれば、こんな問題が現場で解けるのか?を考える

いきなりですが、2023年2月1日、今年の女子学院の算数の大問2です。

全体的に非常に簡単で差がつきにくいのと、この問題は(1)と(2)がほぼセットの問題((1)を突破すると(2)がほぼ全員正解になってしまう)ので、これを落とすと他の問題で挽回は難しい印象です。

これだけが、パニックになる要素を含んでいるかなと思います。

この問題を解けなかった受験生のほとんどは

「正方形がなんとなく突破口になりそうだから、同じ長さのところには印をつけよう…」

で止まっていたようです。

図形の問題では、「わかる情報は書き込む」というのが普段先生からこっぴどく言われているであろう初歩のスキルですが、そこで「あ!必要な情報が揃った!」と解けて喜んだり、解けなくても解説を聞いて「あー、そうやれば解けたのか」で終わっていると、他の問題への応用力になりません。

私はよく授業の最後に「苅野からの最後のメッセージ」と称して、その日の重要な「思考法」を一文で伝えているのですが、この問題を解けたのは、私のメッセージの1つである

● 知りたい対象と同じ数だけヒントを見つけろ! ●

つまり

3つの正方形の一辺を探し出す → ヒントとなる関係性を3つ見つける!

という思考法を思い出した生徒がほとんどでした。

(あ)は(う)より2長い

(あ)+(い)+(う)=26

(あ)+10=(い)

連立方程式の考え方ですね。

もし5だったら?で当てはめて、仕組みを辿れ! 

さらにこの思考法で突破した生徒が多かったです。

これは、条件に当てはまる数を見つけなくてはいけない時に、とりあえず5だったら?

という仮説思考で進めてみると、条件がどのように作用しているかが見えてくるというものです。

奇数の方が、計算結果を逆からたどりやすいので5にしています。

ここで (あ)に5を入れると、次に(い)がわかり、そして(う)がわかり、最後に合計が26になるかどうかの条件でチェックできるという関係性が見えてきます。

この作業を1回すると、

(あ)は(う)より常に2cm長い

ということや、

(あ)を5cmより大きくすると全体が26に近づいていく

などが見えて答えに辿り着けます。

女子学院ではあまり時間がないかもしれませんが、他の学校でも(大学入試でも)重要なスキルです。

どの塾の教材にも類似の解法の問題は載っていました。

しかし、しっかり抽象化して汎用性のある形で習得しておかないと、ほんの少し目先を変えられただけで、せっかく身につけた武器を使うことなく終わってしまいます。

これから勉強を進めていく皆さんには、

「こうすれば解ける」という解説を理解するだけではなく、「どのような準備をしておけば解けたのだろうか?」を考えて、思考法を身につけていく意識を持っていただきたいと思います。